産経新聞 7月31日(木)14時38分配信

 効率主義だ。エレベーターに乗ると『閉める』を押し、後から降りる階のボタンを押す。「人生の何秒かを損した気がして。共感されづらいですが」と笑う。

 その一方で、“無駄”も必要とも。「無駄は贅沢(ぜいたく)ともいわれ、ある意味、生きるために必要不可欠なわけではない。娯楽もそう。でもその無駄なことをいかに大事にするかが、人生を楽しむ術(すべ)じゃないですか」



 大阪では2年連続となる主演舞台「Endless SHOCK」(ジャニー喜多川作・構成・演出)が9月8日、梅田芸術劇場で上演される。平成12年の初演から毎年、上演するシリーズ。17年から、自身も作品作りに携わって内容を一新、現タイトルに。20年に菊田一夫演劇大賞を受賞。昨年に12年5カ月の日本演劇史上最速で同一公演単独主演1千回を達成した。常にチケットが即日完売の話題作だ。

 米ブロードウェーを舞台に、若きエンターテイナーのコウイチ(光一)率いるカンパニーが頂点を目指す中で起こる事件や夢、挫折が描かれる。フライングに殺陣、ダンス、歌、太鼓、階段落ちなど見どころ満載。現題名となり10シーズン目の今年は、ラストシーンを初めてアレンジした。

 「思いつきで(笑)。でもそれを形にするのが大事なので。よりエンディングにふさわしくなりました」

 10年という年月で、演じ方が変わったという。主人公のコウイチは「自分の生き写し」でもある。当初は理想のスーパーマンとして表現した。が、自身も年齢を重ね、人間の弱さが見えてくるようになった。「弱さを役に取り入れることで、物語が立体的になった」

 東日本大震災時は帝国劇場で公演中。1幕で中止となり、翌日から全公演中止に。「舞台に立っていた日常」がなくなり、戦争体験者でもある故・森光子さんから言われた「平和な世でないと、私たちは演じられない」という言葉の意味を身をもって理解した。

 この経験から意識がより高まった。「ずっと思っていた、昨日より今日、より良いものを、を繰り返す日々です」。すべては、細部にわたる努力の積み重ねからとも。「主人公や、舞台を作り上げている僕たちが全力で走り続ける姿から、自分が一生懸命になれることは何かと考えてもらえたら。頑張ろうと思っていただけたら最高です」

 常にステージに立てる体形や体力を維持。舞台に立つ日は、ステージに上がるまでに行う事柄のタイムスケジュールを決めて守る。「ストイックなわけではなく、できなかった時の逃げ道を作りたくないだけ。普段はゲームばかりして、ぐうたらですよ」と笑う。

 好きなことを仕事にし、恵まれた人生だという。「だからその分、努力しなきゃ。そもそも、いま息吸っていること自体が幸せですから」

 基本、ポジティブだ。海外でミネラルウオーターで歯磨きをせねばならなかった時-。「水が飲める日本の水道は素晴らしいと再認識できた。逆説的ですけど、無駄なことなんて、何もない気もしますね」。クールな顔立ちから笑みがこぼれた。(文・橋本奈実)



【プロフィル】堂本光一(どうもと・こういち) 昭和54年、兵庫県出身。平成9年、堂本剛とともにアイドルデュオ「KinKi Kids」としてCDデビュー。発売したシングルは全てオリコン初登場1位。平成13年末にギネス記録に認定され、現在も更新中。ソロでも歌手、俳優として幅広く活動している。

 主演舞台「Endless SHOCK」は9月8日から30日まで梅田芸術劇場で。チケット発売は8月3日午前10時から。詳細は梅田芸術劇場HP(http://www.umegei.com/schedule/402/index.html)。

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