Nikkansports 2012/11/22

Hey Say JUMP!ら180人の若手ジャニーズによる帝劇公演「ジャニーズ・ワールド」が幕開けた。フライング、綱渡り、イリュージョンなど、何でもできるジャニーズの底力を凝縮させている。客への愛情がにじむ19歳山田涼介君のあいさつを聞きながら、その昔、お墓プランまで〝お客さま目線〟を意識していたジャニー喜多川氏の横顔を思い出し、そのDNAをしみじみと見た。

 
 「ジャニーズ・ワールド」は、最も多くのコンサートを手掛けた人物としてギネス世界記録に認定されたジャニー喜多川氏をお祝いする記念公演で、来年1月までのロングランとなる。山田涼介(19)ら人気者が所属するHey!Say!JUMPが座長を務め、A.B.C-Z、Sexy Zoneら若手が中心だ。帝劇では毎年、堂本光一、滝沢秀明、亀梨和也がそれぞれ座長公演を行っており、3座長に続く新しいオリジナル公演となる。

 本線のストーリーがある3つの公演と違い、「ジャニーズ・ワールド」はシャニー氏の頭の中や夢の中を表現する内容。テーマを12カ月に区切り、死生観や世界平和、演劇哲学などを織り込んでいる。

 部活コントの後で源平合戦とか、感想は正直言って「よく分からない」のだが、そこをねじ伏せて楽しませるのがジャニーズ印。歌って踊るお家芸に加え、フライング、空中ブランコ、綱渡り、イリュージョン、仮面の早替え、殺陣、水の演出...。華やかに客を楽しませたいというエンタメ精神に常に焦点が合っていて、舞台でできることはすべてやってみせるという勝ち気なプロ意識に圧倒されるのだ。

 17年前のこと。まだジャニーズが舞台に本格参戦するずっと前だったと記憶するが、そんなジャニーさんの情熱に触れる機会があった。テレビ局の会議室での番組取材が終わり、他紙の記者と2人で荷物をまとめていたら、なぜかジャニーさんが入ってきた。次にこの部屋を使うのだろうと思い、口頭でごあいさつだけして急いで片付けると「お二人のような若い記者さんも増えましたね」。向かい側に座って、こちらが知らない芸能界草創期のギョーカイおもしろ話をあれこれ雑談してくれた。

 すごすぎるメンツでのマージャンとかボヤ騒ぎとか、ダイナミックな時代のエピソードの数々が面白く、名刺も渡しそびれている若手記者相手に垣根なく30分。話は自身の葬式プランに及び「お墓には、何か仕掛けをしたいと思うんですよ。お参りしてくれた人がボタンを押すと、ぼわーんと観音扉が開いて『ありがとうございます~』とか声がしたら面白いと思わない?」。死後まで人を楽しませようとしていた。

 「ジャニーズ・ワールド」では、集大成と言うだけあって、堂本のフライング、滝沢の水のアクション、亀梨のワイヤーアクションなどの要素のほか、山田涼介の綱渡り、知念侑季の空中ブランコなど新しいチャレンジもしている。義経がなぜ綱渡りをするのかという重箱の隅はこの際スルー。わざわざ客席の頭上に綱を設け、真剣勝負の表情や震える足を間近で見られるだけで心躍る。演劇界でこんなことができるのは、帝劇ジャニーズだけだ。

 メインどころのキャストが客席通路を埋めて歌うシーンでは、たまたま山田君が目の前だった。四方八方のお客さんの顔をのぞき込むように笑顔を向け、心から楽しんでほしいと願っている座長ぶり。最後は「これからもジャニーズを愛してください」と客席に頭を下げた。根っからライブ、舞台志向なジャニーさんがこつこつと植え続けてきたDNAが、またひとつ若い世代に引き継がれたミラクルに、しみじみと見入ってしまった。

 けがに気を付けて、3カ月間を完走してください。
 
 来年1月27日まで、東京・帝国劇場で。

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