日刊ゲンダイ 4月11日(木)7時0分配信

「BSプレミアム全体の中でも極めて高い視聴率をマークしている。うまく化けてくれました」

 と、NHK関係者がホクホク顔で話すのは、スペシャル時代劇「大岡越前」(BSプレミアム、土曜20時~)。1970年から29年間、TBSでオンエアしていた人気作のリメークだ。しゃくし定規ではなく、ちゃめっ気たっぷりに揉め事を解決する大岡越前守忠相の「大岡裁き」は、やはり痛快。視聴者の反応も先月30日の放送開始から好調だという。

 最近は年末年始以外、なかなかお目にかかれなくなったテレビ時代劇。
「見るのは年配の一部の固定ファンぐらい。その上、現代劇より制作費がかさむし、スポンサーもつかない。三重苦のコンテンツ」(民放キー局関係者)と多くの放送局がソッポを向く中、NHKは枠を増やした。

「史実を重視する大河、エンタメ色の強いBS時代劇とはまた違った、オーソドックスな名作をやりたかった」(NHK広報担当者)

 制作にはTBS版を担当した制作会社も参加している。NHKエンタープライズが所有する茨城の施設ではなく、京都で撮影。TBS時代のセットを倉庫から引っ張り出し、再利用している。

 主役の忠相を演じる東山紀之(46)の評判もいい。「少年隊のヒガシ」が、加藤剛のハマリ役をうまく継承しているのだ。上智大教授の碓井広義氏(メディア論)がこう言う。
「東山が放つ独特のオーラ、背筋のピンと伸びた見た目や立ち居振る舞いは、現代劇では浮世離れした印象。役柄を選び、制作する側も起用しにくいでしょうが、時代劇ではそれらが生きてくる。カメラの前に立つと、いつでも完璧に頭の先からつま先まで『東山紀之』を演じている。これほど自律という言葉が似合う役者は珍しく、武士道の教えが自然と身についているように思います。テレビ時代劇のスターは、久しく後進が育っていない。彼はニューヒーローの筆頭株といえるでしょう」

 そういえば、「必殺仕事人」のリメークでも藤田まことの後任に選ばれた。今やテレビ時代劇のエースだ。

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