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SANSPORTS  2021.2.6-7

(前編)

堂本光一主演ミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」

 東京・丸の内の帝国劇場で4日に開幕したミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」。作、構成、演出、主演を務めるKinKi Kids・堂本光一(42)とライバル役のKAT-TUN・上田竜也(37)の豪華対談が実現した。スピンオフ版の舞台と並行し、初映画化された本編も14日まで上映中。12日に迎える通算1800回公演を前に、師弟コンビの熱いクロストークを2日連続でお届けする。(ペン・渡邉尚伸)

コロナ…中止…そして

 昨年2月にコロナ禍で本編の公演が中止された「SHOCK」が、物語の3年後を描くスピンオフ「-Eternal」として344日ぶりに“聖地”に帰ってきた。感染予防策も取り入れた演出でリベンジに燃える2人が対談の場に選んだのは、もちろん帝劇。上田が先に姿を見せ、後輩に迎えられた光一が口火を切った。

 --緊急事態宣言下の4日に舞台が開幕したが

 光一「世の中の状況がまだまだ良くなっていないので、ガイドラインをしっかり守りながらステージに立っています」

 --観客の協力が大きい

 光一「観劇する1週間前から隔離生活をし、舞台を見た後、また1~2週間、家族と会わずに生活してから日常に戻る方もいる。皆さんに感謝を届けたいですね」

 --コロナ禍の稽古も“新様式”になった

 光一「『ドリームボーイズ』(※1)もそうだけど、演出するにもマスクで顔が見えない…」

 上田「うん、うん」

光一「キャストの表情が読み取れないので、声を聞いて感じる部分で捉えていくしかなかったです。でも、舞台は広い劇場の客席から見ると、表情なんて見えない。だからこそ声って大切だし、そこから感じるものってあると思うんです」

 上田「大阪公演の映像を俯瞰で見て、初めて気づくこともたくさんありました」

 --スピンオフ版は主人公のせりふが少ない

 光一「本編で死んじゃったので(笑)。本編でも物語をかき回すのはライバル役(上田)だったし、僕の役は象徴みたいなもの。自分に課しているのは、せりふが少ない中でどう存在感を出すか。それが芝居で一番難しく、楽しんでもいます」

 --ライバル役は責任重大だが

 上田「泣いたり笑ったり怒ったり、役の感情に身を任せて全うしています。メンヘラ(精神状態が不安定な人)っちゃ、メンヘラなので(笑)」

■一番汗をかくのは「芝居」

 光一「『Eternal』は過去と現在を行き来する設定だから大変だよね」

 上田「ダンスもだけど、一番汗をかくのは芝居。精神的に“使ってるわ~”って思う」

 光一「声を出すって大変なんだよね」

 --本編の初映画化も話題だが

 光一「もともと映画化するためではなく、20周年を迎えた昨年に(コロナ禍で)舞台が中止になり、何かやれることがないかと無観客で撮影しました。昨年の大阪公演のときは2021年もスピンオフ版を上演することになるだろうと思い、じゃあ、本編を見られない、見たことがない方に映画館で見てもらってから、帝劇でスピンオフを見ていただけば、より『SHOCK』を楽しめると思って…」

 上田「めっちゃ面白いなというか、さすがの発想で、『おー、そうきたか!』と興奮しました」

 光一「『コロナだからこうなっちゃった』というのが嫌。『だったらどう楽しめるか』というものを残していきたい」

■映画化=稼働できる喜び

 --撮影はいつ

 光一「昨年の3月でした。正しい言い方か分からないけど、あのとき全員が(公演中止で)“プー太郎”になった。そんな中で1日でも稼働できる喜びを、演者もスタッフも感じていたよね」

 上田「いやぁ、本編は心身ともに削られるから『もう1回やんのか』って…」

 光一「フフッ」

 上田「口ではふざけて言ってたけど、そういう(コロナ禍の)休みは求めていない。宙ぶらりんのときにやるとなり、みんな気合が入った」

 光一「タツ(上田)はこういう(やんちゃな)見た目だけど、方向性を持って役に取り組んでいるのが分かる」

 (上田が苦笑)

 光一「誰が見たってちょっとガラが悪いけど、少しおちゃめだったり、そういう部分を『SHOCK』で彼にやらせるのがワクワクする」

 上田「ハハハ」

 --黄色いスーツ姿で花束を持って求愛する場面も確かにおちゃめ

 光一「そういう部分が見えると『あぁ、かわいいな』って楽しくなるし、より落ち込んだり、かみついたりっていう(ギャップの)演技が際立ってくる」

 上田「『SHOCK』はエンターテインメントの最高峰。いろんなことを勉強させてもらっている。だからこそ、俺はね、ダメ出しを言ってほしいタイプ」

 光一「(出演2年目の)03年に出ていた当時は思ってなかったでしょ?」

 上田「思ってないっすよ~」

 光一「ハハハハハ」

 --当時の心境は

 上田「え、光一くんの前で言うの!?」

 --ぜひ

 上田「『早く帰りたい』って感じ。部活の延長線上で取り組んでいたから」

 光一「まだ(タイトルに)『Endless』が付く前だったよね?」

 上田「うん」

 光一「05年に内容を一新した『Endless SHOCK』(※2)にしたのは、自分の役が向かう先を作りたかったから。周りも役をしっかり持って作品を成長させていくことで、みんなの向かう先が明確になる。当時は自分自身も見失う部分があったから」

■あえて渡る「危ない橋」

 --上田さんは17年ぶりに昨年の「SHOCK」でキャスト復帰した

 光一「作品とともに人も成長していって、そこに17年空いて竜也が入ってくると、どう立ち振る舞えばいいのかを明確に示してあげられる。そうすると、自然とカンパニーって一つになる」

 上田「光一くんは演出家の目線でいろんなことを言ってくれるし、単純に(昔より)トゲがなくなった。今は全体が一つになる感じがある」

 --映画で初監督も経験した感想は

 光一「演出と同じでかじ取りの意識です」

 --映画版のカーテンコールで「まだまだ進化させたい」とあいさつしていた意味は(※3)

 光一「何か物事を言うときは、それを自分に課す場合もある。有言実行しなきゃいけない目標が生まれるから。撮影当時は『Eternal』も生まれていなかったし、映像を映画化するなんて考えてもいなかった。そういう意味で自分に課した行動は取れたのかな」

 (上田もうなずく)

 光一「どういう状況でも、感謝と何かぶっ壊してやりたい気持ちは相反するもの。スタッフや演者が嫌がることってお客さんは楽しいし、『危ない橋を渡りたくないから、やめておこうよ』となったら何も生まれないですもん」

 上田「ガンガン危ない橋、めっちゃ渡りてー」

 

 (7日付に続く)

※1=昨年12月10日~先月27日まで東京・帝国劇場で行われた光一の演出舞台。King&Princeの岸優太(25)と神宮寺勇太(23)が出演した※2=光一が脚本や演出に参加し、内容を一新した※3=カーテンコールで「こんなこと(コロナ禍)でエンターテインメントが死んではいけない。『ショー・マスト・ゴー・オン』は幕を開けなければいけないのではなく、次に進むために何ができるか。まだまだ進化させてやり続けたい」と宣言

(後編 )

 KinKi Kids・堂本光一(42)とKAT-TUN・上田竜也(37)の師弟コンビによる2日連続対談の後編。東京・丸の内の帝国劇場で3月31日までミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」に出演している2人が、作品への愛はもちろん、互いへの思いも赤裸々に告白。光一が上田を“イジる”など、随所に師弟愛が垣間見えた。(ペン・渡邉尚伸)

■ひっくり返したおもちゃ箱から強い物語性に

 --「SHOCK」は初演から21年たった

 光一「初演とは全くストーリーが違います。(ジャニーズ事務所前社長の)ジャニー(喜多川)さんのおもちゃ箱をひっくり返したような当時の内容は、例えば言葉の通じない人が見ても無条件で楽しめる魅力的な作品なんです」

 --現在は物語性が強い

 光一「ただ、2004年頃かな…。自分の向かう先みたいなものが欲しくなった。例えばジャニーさんが手掛けた舞台『ジャニーズ・ワールド』(※1)などは若いエネルギーを放てば、お客さまに無条件で感動していただける。『SHOCK』は自分が年齢を重ねていけば、その部分がどんどん衰えていくんですよね(笑)。自分や作品のことをしっかり見つめて作らないと、お客さまが納得してくれなくなってしまう」

 --例年2、3月の公演だが、昨年の会見では上演時期を変えたいと

 光一「コロナ禍だからじゃなく、数年前から言い続けていることで。冬の乾燥する時期に全員代役のいないシングルキャストで、この濃い内容ってけっこう大変なんです。体のことを考えると、かなりリスクが高い。今後は(主催側と)相談しながらですね」

■KAT-TUNメンバー減って得た強さ

 --KAT-TUNは15周年イヤー

 光一「今年は竜也が『SHOCK』に出る予定はなかった。彼らは15周年で忙しいから。去年、帝劇の公演がコロナ禍で止まってしまって『来年どう? グループの15周年と被るよね』という話をしたら、『それでもやりたい』と言ってくれた。彼の意思がうれしかったですね」

 上田「忙しいのは覚悟の上です」

 --15年間トップを走り続けてきた

 光一「長くグループを続けるって大変。メンバーが1人減り、2人減り…(※2)」

 上田「笑ってるから絶対言うと思ったんだよね~(爆笑)。悪い顔してたもん」

 光一「ハハハハ。でも、減るのが悪いと捉えるのも俺はどうかなと思っていて。各グループもいろいろあるけど、そういう歴史の上で今のKAT-TUNがある。そこで得た強さが今の3人にはあるだろうし」

 上田「全く同じ意見。グループの15周年だから、メンバーとはいろんなことを攻めてやっていこうと話をしている」

 光一「攻めろ、攻めろ!」

 (ほほえむ上田)

■舞台配信…コロナ禍で生まれた無限大の可能性

 --コロナ禍でのエンタメの在り方は

 光一「コロナはまだまだ分からない部分も多いけど、理解も出てきた。例えば演劇界だったら規制はありますが、お客さまにもご協力いただきながら開催できる。コンサートは難しい部分があると思いますが、演劇はそうやって少しずつ進んでいる部分がある」

 (うなずく上田)

 光一「コロナ禍になり、約1年の間にいろんなものも生まれた。それって無限大の可能性を秘めていると思っていて。昨年秋に『SHOCK』の大阪公演を配信(※3)したこともその一つ。舞台を配信するなんて今まではあり得なかったこと。だけど、世の中に日常が戻っても配信が残ったり、配信だからできることがあります」

 --多様性が広がった

 光一「コンサートでも配信という形は無限大の可能性を秘めているし、一概にステージ用の演出だけじゃない。その表現法を模索するのが面白いし、新たなコンテンツ、エンタメとしてこれから生まれるものがいっぱいある。そうやって世の中が少しずつ前に進み始めているのは、一つの希望なのかな」

 --本当に心強いリーダー

 上田「頭ん中をのぞいてみたい(笑)。予想外の考え、発案がすごく前向きで、この時期だからこその楽しさを見いだしているから。これが『SHOCK』の主人公・コウイチという天才なのかって、つながる部分もあるしね」

 --上田さんも前向き

 上田「もちろん前向きにいろいろ考えるけど、光一くんは発想がすごい。ジャニーさんを思わせるんですよ。その脳みそほしいわ(笑)」

 光一「今まではジャニーさんが全て責任を背負ってくれていた部分があって。舞台の先頭に立っていると、称賛みたいなものをたくさんいただきますが、それは周りのおかげなんです。だから何か起きたら責任を取る覚悟を持っていたい」

■本編やらなくなったら一番悲しむのはビバちゃん

 --12日に通算1800回公演を迎えるが

 光一「自分としては回数よりも、『もしかしたら、もう本編ができないかも』という覚悟を持って『Eternal』を演じています。世の中がコロナ禍前の状態に戻る頃には、もう俺、年齢で考えると本編は体力的に厳しいかなと(笑)」

 --そんなことは…

 光一「まあ、それは置いておいて。客席上のフライングとか、まだまだ難しい部分もたくさんある。それぐらいの覚悟を持って1公演、1公演を重ねられたら」

 上田「本編をやらなくなったら、一番悲しむのはビバちゃん(劇場オーナー役の前田美波里)だから」

 (2人で大爆笑)

 光一「そうなんだよね~」

 上田「ずっと本編やりたいって言ってる」

 光一「本編あってのスピンオフだから。もちろんやりたいけどね」

 上田「共演者もスタッフも光一くんのことが好きだから、みんな一つになって攻めることも楽しんでやってんじゃねーかなってすごく思う」

 --一丸となり本編再開に向けて走り続ける

 2人「そうですね!」

※1=ジャニーさんが作・構成・演出を手掛け、2012年に初演された舞台。16年12月から「ジャニーズ・アイランド」に。直近の19-20年公演はKing&Princeの平野紫耀、永瀬廉、高橋海人が出演

※2=01年に6人で結成。3度のメンバー脱退を経て現在は上田、亀梨和也、中丸雄一の3人に

※3=昨年10月に「-Eternal」の大阪公演を有料生配信。「SHOCK」シリーズの配信は初めて

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